ティム・ダンカンという人

Tim Duncan, San Antonio Spurs

ティム・ダンカンは,多分外からは「物静かで退屈ないい人」くらいに思われてるのかもしれない。
確かに彼はいい人なのだけど,毒のない人ではない。
むしろおそろしくキツいユーモアを持っている。
プレイオフで活躍するロバート・オーリーに「普通の試合は力を抜いて,こういう時だけ活躍する」とか,トニー・パーカーがケガで休んでいる間に勝利すると「これでスパーズの勝利にトニーは必要ないことが証明された」とか,とにかく慣れない人が聞くと耳を疑うレベル。

でも,実はこういう事を言われるのはティムが親しく信頼している人だけ。
対戦相手や親しくない人,そして本当に実力がなかったり嫌いな人には間違ってもこんなことは言わない。
多分ティムも誤解を受けてしまうのを解っているから,外のメディアに対してはめったにこういう面を見せず,それが「物静かで退屈ないい人」という印象を作ってるんだろうな。

リチャード・ジェファーソンに関する発言の記事でティムのこういう面が誤解されているようなので,リッチとティムについてちょっと書いておこう。
入りたての頃に「悪くなきゃそれでいいよ」というようなことを言ったと書いてあるけど,あの発言はティミーの配慮じゃないかと思う。
彼はこれまで何人も,入ってすぐに活躍しようと頑張っている選手を見てきている。そしてそれが大抵一年目ではうまくいってないのも見てきている。
故に「最初からあまり頑張りすぎるな」というアドバイスではないか…と。
実際リッチは頑張り過ぎるし悩みもするタイプみたいだ。それを最初の時点で見ぬいていたなんて,すごいなぁと感心すらする。
で,多分リッチもそれはティムが意図した意味で受け取れているように思える。

まぁファンの視点なので若干よく見過ぎかもれしない。
でも,新しく加入する選手が初めてサンアントニオに来るときにはオフなのに空港まで出迎えに行き,若い選手でも隔てなく一緒に遊び,チームメイトが活躍することを自分の活躍以上に喜ぶ人なのは確か。
だから,何年か一緒にやっているチームメイトは「チームのエースがティミーだから,安い給料でもスパーズにいたい。」とまで言うんだろうな。

ティム・ダンカンはそういう人で,キツいジョークも含めてティム・ダンカンだというところを,できればスパースや彼のチームメイトを応援する人には知ってて欲しいな…と願ってしまったために長文になってしまった。

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追記:そもそもリッチがスパーズに来るのが可能になったのは,ティムが「自分の給料を安くしてその分を新しい選手獲得にまわせばいい」と言ったから。そうでなければ金持ちじゃないスパーズは,リッチみたいな高額選手を手に入れることはなかっただろう。
当然,新しいチームメイトにはそれなりに期待しているものがあると思うし,本気で「悪くなきゃいい」とは思っていないはず。

もひとつ追記:ティムのキツいジョークにチームメイトもやられっぱなしではなく,ロバート・オーリーは「あいつがフリースローをもっと決めてれば…」と反撃(もちろん冗談)。ブレント・バリーも「ヒストリー・チャンネルもティム・ダンカンも退屈」とコントのネタにしていた。
こういうキツいジョークのやりとりがスパーズ内ではとにかく多い。
一時期スパーズに入る条件として「ユーモアとディフェンス力があること」なんて言われてたけど,あながち嘘ではないと思う。

更に追記:昨季のリッチの成績がひどかったのは事実で,本人も相当苦しかったと思う。
それを罵倒されたり,逆にいたわられたりしたら,リッチはすごくチームに居づらかっただろう。そこをお約束的ジョークに持っていくことで深刻じゃない空気を作ってたのかもしれない。

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